カスタマージャーニーマップ 演習問題【フィットネスジムの入会〜解約フロー完全解説】
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カスタマージャーニーマップ(CJM)は「顧客が商品・サービスと接触してから離脱するまでの体験を時系列で可視化するツール」だが、使い方を誤ると表面的なタッチポイント羅列になりがちだ。本記事ではフィットネスジムへの入会プロセスとサービス利用継続・解約判断を題材に、CJMで課題を特定して改善策を導く演習問題を全プロセス解説する。ケース面接でのCJM活用法も含めて体系的に紹介する。
カスタマージャーニーマップの基本構造(復習)
演習に入る前に、CJMの構成要素を整理する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| フェーズ(縦軸) | 認知 → 検討 → 購入/契約 → 利用 → 継続/解約 の時系列ステージ |
| タッチポイント | 顧客が企業と接触する具体的な場面(Web・SNS・店舗・メール・コールセンター等) |
| 顧客の行動 | 各フェーズで顧客が実際にとる行動(検索・比較・試用・問い合わせ等) |
| 顧客の感情(エモーション) | 各フェーズでの感情曲線(期待・不安・喜び・失望・満足) |
| ペイン(課題) | 顧客体験の中で不満・摩擦・離脱が起きているポイント |
| 改善施策 | ペインを解消するための具体的なアクション |
演習問題のシナリオ
演習シナリオ(架空)
中堅フィットネスジムチェーン「フィットパーク(架空)」は、会員数が横ばいで解約率が月3%(年間約30%)と高い状態が続いている。新規入会数は月間200人だが、解約数も200人と純増がほぼゼロだ。
あなたはコンサルタントとして、カスタマージャーニーマップを使ってどのフェーズに最大の課題があるかを特定し、改善策を提案してほしい。
仮説の初手設定
解約率が高い問題に対し、まず「どのフェーズで離脱が起きているか」を仮説立てる。
- 仮説A:入会直後(最初の1〜2ヶ月)に通う習慣がつかずに解約している
- 仮説B:入会後6〜12ヶ月で効果を感じられずモチベーションが低下している
- 仮説C:価格に見合う価値を感じられず、月会費支払い時に解約判断をしている
カスタマージャーニーマップを描く
フィットネスジム利用者のジャーニーを6フェーズで整理する。
| フェーズ | 顧客行動 | 主なタッチポイント | 感情 | ペイン(課題) |
|---|---|---|---|---|
| 1. 認知 | SNS広告・知人の口コミで存在を知る | SNS・Web広告・口コミ | 興味・期待 | 「何ができるジムか」が広告だけでは不明確 |
| 2. 検討 | 料金・設備・立地を比較。見学・無料体験 | Webサイト・口コミサイト・見学来店 | 期待半分・不安半分 | 入会後のイメージが掴めず、比較サイトで競合に流れる |
| 3. 入会 | 入会申込・会員証発行・初回説明 | フロントスタッフ・入会書類・アプリ登録 | ワクワク | 入会手続きが煩雑で時間がかかる。アプリ設定に戸惑う |
| 4. 初期利用(1〜2ヶ月) | 週2〜3回通うが、使い方が分からず迷う | ジム施設・スタッフ・アプリ・SNS | 期待→不安 | 最大ペイン①:器具の使い方・メニュー設計が分からず、「このまま続けても意味あるか」と不安 |
| 5. 継続利用(3〜11ヶ月) | 週1〜2回に通う頻度が下がりがち | 施設・アプリ・月会費引き落とし | マンネリ・罪悪感 | 最大ペイン②:成果(体型変化・体力向上)を実感できず、月会費が「もったいない」と感じ始める |
| 6. 解約判断 | 月会費引き落とし時・通えない月が続いた後 | 会員アプリ・コールセンター・フロント | 後悔・決断 | 最大ペイン③:解約しようとしても手続きが面倒(電話のみ受付・来店必須等)。解約を「引き留める」だけで根本解決なし |
ボトルネックの特定と改善策
CJMから浮かび上がる3つのペインを優先順位付けし、改善策を設計する。
ペイン優先順位の評価軸
「解約率30%/年」という課題に対して、各ペインの影響度を推計する。
| ペイン | 解約への影響度 | 改善の実現可能性 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| ①初期の「やり方が分からない」不安 | 高(入会後1〜2ヶ月で大量解約) | 高(オンボーディング設計で解決可能) | 最優先 |
| ②成果が実感できない継続期のモチベーション低下 | 高(3〜12ヶ月でじわじわ解約増) | 中(進捗可視化・パーソナライズが必要) | 第2位 |
| ③解約手続きの複雑さ | 低(「解約しにくい」は一時的な引き留めのみ) | 高(デジタル化で解決可能) | 最後 |
具体的な改善施策
施策①:入会後30日オンボーディングプログラム
- 入会当日に「30日チャレンジプラン」(目標・メニュー・頻度)を設定
- 週1回のアプリプッシュ通知でチェックイン促進
- 最初の2週間はスタッフが声掛けする「ウェルカム期間」を設ける
施策②:成果可視化ダッシュボード(アプリ拡充)
- InBodyや通い記録と連携した体型変化・運動量の進捗グラフ
- 3ヶ月ごとの成果レポート配信(「◯回通いました」「カロリー消費◯kcal」)
- 達成バッジ・コミュニティ機能でゲーミフィケーション
ケース面接でのCJM活用法
CJMはサービス業・デジタルサービスのケースで特に威力を発揮する。以下のポイントを押さえておくと実践で使いやすい。
CJMが有効なケースのタイプ
- 解約率・チャーン改善(SaaS・サブスク・フィットネス・通信)
- 顧客体験(CX)改善(小売・飲食・宿泊・金融サービス)
- 新サービス設計・プロダクト戦略(UI/UXの改善を含む)
CJMを使う際の3つの注意点
- ペルソナを明確にしてから描く:誰のジャーニーかが曖昧だとCJMが抽象的になる。「30代女性・週2回通える・ダイエット目的」等のペルソナを先に設定する
- タッチポイントの羅列で終わらせない:感情曲線のどこが落ちているか、ペインの発見に使うのが目的
- 最終的に改善施策まで落とし込む:CJMは課題特定ツール。ケース面接では「で、何をすればいいか」の提言までセットで示す
まとめ
カスタマージャーニーマップ演習から得られる重要ポイントをまとめる。
- CJMは「フェーズ×行動×感情×ペイン×改善施策」の5要素で構成される
- フィットネスジムの例では、初期オンボーディングと成果可視化が解約率改善の最大レバー
- ペインの優先順位は「解約への影響度×改善の実現可能性」で判断する
- ケース面接では「タッチポイント羅列」で終わらず、ペイン特定→改善施策提言まで進める
よくある質問
カスタマージャーニーマップとペルソナの違いは何ですか?
ペルソナは「誰か」(顧客像の設定)、カスタマージャーニーマップは「その人が何をするか」(時系列の体験整理)です。CJMを描く前にペルソナを設定し、「このペルソナのジャーニーを追う」という使い方が正しいです。複数のペルソナがいる場合は、優先度の高いセグメントのCJMを描きます。
CJMとサービスブループリントの違いは何ですか?
CJMは「顧客視点」の体験を描くツール。サービスブループリントはCJMを拡張し、バックオフィス(従業員の行動・システム)も含めた全体を描くツールです。ケース面接では通常CJMの活用で十分で、サービスブループリントまで出す必要は少ないです。
解約率(月3%)がどのくらい重大な問題か教えてください。
月3%の解約率は年間約30%に相当します。LTV(顧客生涯価値)の観点では、月会費8,000円の会員が平均3.3ヶ月で解約することになり、LTV=26,400円です。オンボーディング強化で解約率を月2%に下げると平均在籍5ヶ月に延び、LTV=40,000円と約52%改善します。
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